「今日は何人だったかい」
「100人はくだらないだろうね」
「とてもがんばった日になったね」
「そういえば子供の頃によく乗せていたあの子がひさしぶり来たよ もう大人になって素敵な男性も一緒だったよ うれしいね」
「そう、うれしいね 僕の背中には新婚の時によく来ていた彼が孫と一緒に乗ってくれたよ」
「そうかい 嬉しい話だね」
「あともう少し がんばろう」
「そうだね がんばろう」
人のいなくなった園内に
乗り物たちの静かな会話が響いていました
この絵は閉園後の遊園地を描きました。
僕は以前、10年ほど「豊島園」駅に住んでいました。
「豊島園」といえば「としまえん」。
とても思い入れのある場所です。
そのとしまえん閉園の知らせを聞いて描き始めた絵でしたがなかなかうまく行かず、間を空けながら進めて完成まで長い時間を要しました。
人のいなくなった閉園後の遊園地では動物や乗り物たちは自由に休み、会話し、ねぎらいあっています。
あと少しでお役目が終わるとしまえんのお馬さんたちも、100年近い歴史の間に来てくれた人たちのことを想いうかべ、それをまた勇気に変えています。
最後の日まで、おうまさんたちは子供たちを乗せ、優雅に回り続けるのでした。