少年は眠る時に空想するのが好きでした。
今夜も布団に入ると目を閉じていつものように想像を膨らませました。
今夜の彼は「ピアニスト」。
「やぁ、集まってくれてありがとう。今日はみんなに僕の演奏を聴いてもらうよ」
そう言ってピアノにすわったものの、そういえば楽譜がありません。
「そうだ、楽譜がほしいぞ。お星さまにお願いしてみるとしよう」
少年は空を見上げ星たちに話しかけました。
「お星さま、僕に楽譜をくれませんか」
すると空が明るくなっていくつかの星がぽつりぽつりと落ちてきました。
「やぁ、ありがとう!」
そういって少年は夢の中で星が示すとおりに音楽をかなで続けました。