ねこは海のそばで育ちました。
お昼になるといつも海辺に遊びに行きました。
ねこには一匹の魚の友達がいました。
彼はいつも魚に海の話を聞いていました。
「やあ。今日もまたお話を聞かせてくれよ。」
「やあねこくん。いいよ。今日はなんのお話がよいかな」
「そうだなあ。じゃあ、海の一番下のことを教えてよ。一番下はどうなってるんだい?」
「一番下か。僕も本当の一番下は見た事がないのだけどこの辺の一番下ならわかるよ。
暗くて静かで少し寒くて、平べったい魚や貝やひとでが沢山いるのさ」
「そうなんだ。本当の一番下ってのはなんだい?」
「本当の一番下はもっともっと深いところにあって、僕らでは行く事が出来ないんだ。
そこにはそこだけで暮らす魚がいて、真っ暗で何も見えないらしいんだ」
「何も見えないのに暮らせるのかい?」
「目が見えなくても暮らす方法があると聞いてるよ」
「そうなんだね… 今日も楽しい話をありがとう」
ねこは真っ暗な海の中の事を思い浮かべながらいつもの昼寝の場所に向かいました。