2015年07月08日  最終更新日:2021年08月04日

クリエイターEXPO 2015 出展感想と考察

blogイメージ画像去る7/1~3の3日間、クリエイターEXPO 2015に出展しておりました。
詳細は公式サイトに任せますが簡単にいえば「クリエイターと業者さんをマッチングさせる会」とでもいいましょうか。
営業活動が必要な作家としては大変ありがたいイベントです。

詳しい出展のいきさつは正直あまり覚えてないのですが、元は自分のお師匠さんが出展されるという事で、今なら割引あるからそちらもどう?と言われて決めた気がします。
それが10月か11月頃でまだ半年以上もあるという事と、その頃なんとなく絵の調子がよかったのでその頃には適当に絵も増えているだろうと楽観的に考えておりましたが、何故か年が明けた途端に画風を変える必要性を強く感じてしまいあれこれ模索しているうちにいつの間にかイベント当日を迎えてしまったという、結果的にあまり余裕のない出展となってしまいました…

そんなこんなでご多聞に漏れず自分も沢山の反省点がありましたのでこれから出展される方や出展を検討されている方の一助になればと思い、ここに自分にとってのクリエイターEXPO 2015をまとめてみたいと思います。

出展者さんのクオリティ

平均レベルはとても高い…

設営の日に強く感じましたが、正直とてもレベルが高いイベントでした。
出展費用が10万近くかかる事から、強い覚悟と志を持った方が出展されるのでハイレベルであることは当然な訳ですが、すでに第一線で活躍されている方も多数ですしアマチュアさんとはいえとても腕の立つ方ばかりなので正直激戦です。
なので出展の準備にあたっては自分の中で100点ではなく150点、200点の結果を出せたと思えてから臨めるようでないと設営の日にすでに落ち込みます…(苦笑)。
僕の場合は絵のクオリティもさることながらやはりブースの設営でちょっと失敗しましたので設営の日はとても落ち込みました。

ブース作りはとことんやっていいと思います

ブースの造りに関しては後述致しますが、作品・ブースとも相当気合いを入れて臨まれる事をお勧め致します。
「気合いを入れすぎて失敗した」なんて事はほとんどないと思いますので「がんばりすぎたかな」くらいの感覚がちょうどいいかと想像します。

画風とその打ち出し方について

イラストレーターゾーンに限っていえばやはり挿絵に使われるような人物画やかわいい子供・動物イラストの作家さんを一番多く見かけた気がします。
と、いう事は同時に「競合が多く不利な面がある」という事になります。

同じレベルの作家さんが10人いてもお仕事が10人分に増える訳ではありませんので、一般的なイラストやかわいらしいイラストを仕事にしたいと思っておられる方は、希望する仕事の方向性を狭めにしぼるかアプローチの方法を少し工夫する事が必要だと思います。
普通に設営して普通に資料を配るだけでは成果は少し厳しいものになるかもしれません。

出展ゾーンについて

お客さんにとってはあまり関係ないかも…?

出展ゾーンは自分で決める訳ですが正直あまり意味をなしてないように感じました。
が、あとで聞いた話によると「イラストレーターゾーンが一杯なので絵本ゾーンになった」というような方もいらっしゃるようなのでそういう印象になったのかなと思います。

僕のブースは本イベントに於いて一番奥のエリアで人も少ない場所だったのですが、それでも「絵本描けますか?」とちょくちょく聞かれるのがとても不思議だったのですが1日目が終わって帰り道に絵本ゾーンに行ってみましたらその理由が分かりました。
絵本ゾーンとはいえ普通のイラストレーションを描いてらっしゃる方が沢山おられた訳です。
おそらく絵本作家を探しにきてらしたお客さんからしたら物足りなかったと思います。

また、3日間を通した個人的な感想で言えば、例えば絵本を書きたくても特に絵本ゾーンにこだわる必要は無いと思います。
それよりはまずイラストの精度と幅の広さを追求した上で「絵本も描きます!」とうたった方が良いような気がします。
僕はまだお話(物語)が書けないので絵本に関しては強くアピールは出来ませんでしたが、もし物語も書けるとしたら、一番人が少ない僕のブースであっても、恐らく2~3社から後日に連絡が頂けたような気がしています。

なので絵描きの方はとりあえずイラストレーターゾーンに出展して「やりたい仕事」はブースの中でしっかり表現する形でよいかと思われます。

基本的にお客さんはゾーンにあまり関係なくゆっくりと会場を回っておられる印象です。

ブースの場所について

手前と奥、どちらが良いのか…?

今回僕のブースは「クリエイターEXPO」が開かれているエリアの一番奥の場所でした。
ただ、すぐ隣では別のイベントをやってますので特に寂しさは感じませんでした。
逆に入り口付近は音がすごく静かで少々寂しい感じもありますが、僕の場所は隣でデジタル関係のイベントを行っていたのでなんやかんやと音が聞こえてにぎやかな感じで、かつ人の往来もそれなりにありますので寂しさはあまり感じませんでした。

デジタルブース

隣のデジタルブース

が、「クリエイターEXPOにいらっしゃる方の往来」はやはり一番少ない場所ではありますし、僕の通路を通らずにお帰りになった方も沢山いらっしゃると思います。
なので確かに機会損失は発生していますが1日目を終えて1つ思った事があります。

奥でも落ち込むことは無い…?

お客さんは僕のブースに来るまでに本当に沢山の作品を目にしてらっしゃる訳ですが、それは同時に僕の場所に来るまでに目が肥えてからいらっしゃる事を意味します。
それでも僕のブースで止まってくれたりお話してくれるという事は、そこに来るまでに見た作家さんと比較が済んだ上でそれでもという事なので、逆にチャンスだと言える部分を感じます。

入り口の方で少し気に入った作家さんとお話をしたけど奥に行ったらもう少しいい作家が居た、という場合には手前に話した作家さんの印象はあとで会った作家さんで上書きされるように思います。
なおかつイラスト自体も手前の作家さんよりレベルが高ければ後者の方が随分有利な気がします。

一日目が終わる頃にぼんやりとそんな事を感じましたので、一番奥の通路になった方も特に気にしないでよいと思います。
作品の質さえ担保出来ていれば(←ココ大事)実は入り口付近よりも奥の方がチャンスかもしれません。

奥よりもシビアだという噂の場所が…

なお、これも知人にあとから聞きましたが入り口付近右側の一方通行エリアはとても往来が少ないところがあったようで、その辺りの方はまた別の心配があると思います。

当日の配布資料について

今回僕はどちらかというとスタンダードな資料で臨みました。

用意したものは

●名刺 300枚
●12Pの作品集(動物イラスト) 300部
●作品集が切れたとき用のB5チラシ 400枚
●人物画だけを入れたA4チラシ 150枚

の4種です。

クリエイターEXPO配布物

クリエイターEXPO配布物

結果としては12Pの作品集と人物画のチラシは全て配布出来ました。
これは出展にあたって最初に設定した一番大切な目標だったのでそれを達成出来た事は何より良かったと思っています。

なお、作品集やチラシがあれば名刺はそんなに出ませんので300枚も要らないと思います。
数えてはいませんが僕は100~150枚くらいしか出てないように思います。

ただ名刺はあとで使えますので多くても特に問題は無いと思います。

資料の配布方法について

待つか、配るか…?

上記の配布数に関係するお話がひとつありまして。
これは本当に賛否両論ですし人それぞれの考え方がありますが、上に記した「300部の配布」という目標に於いて1つ決めた条件は「能動的に取ってくれる人、立ち止まってくれた人に限る」という事です。

出展者さんのblogでも1,000枚以上チラシを配ったような方を散見致しますが、実際はブース前に立って無差別に配り続ける事をしないと1,000枚は絶対に出ません。
だけどそれ(無差別配布)に意味があるのだろうか…?と思っている部分があります。

イベントには本当に様々な方々がいらっしゃいます。
無差別に配布する事は「1%でも仕事が来る可能性を増やす」という利点がありますので全否定する事はありませんが同時に「自分の反響が分かりづらい」というデメリットを含みます。

僕は「大体1時間に何冊くらいもらってもらえるか」という想定から印刷数を決めて300部という数字になりましたが結果的にそれは現実的な数字でした。
元々クリエイターEXPOに出展を決めた理由の一つに「どうせ営業しないといけないなら資料を郵送しないといけないし、郵送を考えると出展費用とたいして変わらないだろう」という考えが有りました。

正確に計算はしていませんが恐らく郵送代は出展費用と似たような金額になると思いますし、なにより実際には不可能である「興味を持って頂いた企業さんだけに送れる」という夢のような状態である訳ですから、仮に同じくらいの費用だとしても通常の営業活動よりも出展の方がよほど意味があると思います。
僕は元々そういう考えがありましたので「無差別に配布する」事は考えはしませんでした。

そんな訳で僕は興味を持ってくれた方だけに300部を配りましたが、それはおよそ300人が興味を持ってくれた事を意味します。
しかし無差別に配布するとその数が全く分かりません。
1000部配ったとてそのうちの何割が自分に興味があったのかがいまいち分かりません。

出展は資料の配布以外にも得られるものがある

イベントに出るとほとんどの場合「後悔と反省」が発生します。
そして「後悔と反省」は必ず「意識と作品の向上」を生みます。
もちろん営業活動も大事なのですが、作家にとって一番大事なのは「作品への反応と正面から向き合って自分をアップデートし続ける事」だと思っています。

日常的にもみなさんそれは行ってらっしゃると思いますがイベントに出るとそれが短期間で為されます。
これが出展の最大の利点だと思っている僕としては無差別に配布する事をやはり否定している部分があります。

天才を除くほとんどのイラストレーターに必要なのは「客観視とチューニング」だと思います。
イラストレーションはアートではありません。
基本的には求められるものを作る仕事なので常に世間と照らし合わせた作品のチューニングは必須ですし、そのための世間の反響や反応を見る事を一番に考えると、僕は無差別配布はあまりお勧め致しません。

パネルやブースの飾り付け

出展者の皆さんが一番頭を抱える「ブースの造り」についての所感なのですが。

僕はこのように展示致しました。
どーん

ブース写真

ブース写真

しょ、しょぼい(涙)!!

しょぼい上に下の方の微妙な空間が…orz

なお、元の設定はこうでした。

ブース図

ブース図

が、実際に設営して歩いてみるとやはり変更が必要だなと感じましたので写真のようなレイアウトになった訳ですがそうするとへんてこな空間が生まれ…

まぁそれはまだいいとして。

やはり絵が小さい(泣)!!

僕は時間の都合と京都から運ぶ事を考えるとA3パネルが最大になったのですが(実際はもっと方法はありますが‥)A3では会場では本当にちっさい絵になります。

一応前回までの出展者さんの写真を参考にしてブースを想定したのですが、僕が見落としていたのか、今回から皆さんががんばったのか、それはわかりませんが今回はかなりの割合の作家さんがとても大きな絵を1枚用意されていました。
そしてそれはとても効果があるように見えました。

当然ながら通路と壁には距離がある…

設営で大事なのは「絵との距離」です。
ブースには机がありますし、歩く位置は壁から2m近く離れています。
そうすると普通に歩いてるだけの人に対しては、パソコンでサムネイルを見ているような程度の印象でしかなく、絵をかなり大きく掲示しないと絵の細かい印象も伝わりにくく単純に損をします。

という事で出展される皆さんには可能な限り絵を大きくする事をお勧めしますが、とはいえ面積には限りがありますので「1枚大きく、他はA3くらいで」という感じがいいのではないかと思います。

ただ、そうすると1枚の絵の印象だけがどーんと前に出てしまうので、器用さを売りにしている方等はデメリットが発生します。
僕なんかも実際一枚だけをどーんと貼る事に抵抗というか恐怖がありますので難しいところですが、それでもやはり1~2枚は出来るだけ大きく掲示する事をお勧め致します。

という訳で実際にはこんな感じがいいんじゃないかと思います。

ブース図02

ブース図02

運搬などの事を考えると大きな絵は布製品(タペストリーなど)で制作される事をお勧め致します。
布だと設営も撤去も楽ですし。

A3サイズはあくまで「参考のその他の絵」のための大きさと思っておいて間違いはないと思います。
タペストリーで足を止めて頂いた方にさっと詳しい冊子をお渡しするのが一番いいのではないでしょうか。

名刺の交換

人それぞれですが、お名刺を頂く事は少ないです。
お話した方でも受け取ってない方は沢山いらっしゃいます。
僕が頂いたのは2~30枚で多いか少ないかはよくわかりませんが、通常は「現実的に発注をお考えになった(なりかけた)企業さん」じゃないとお出しにはならないと思います。
なので受け取る事があれば純粋に喜んでもよいと思います。

あと、頂いたあとに必ずお話した内容はメモしておく事をお勧め致します
そうしないと次の日に必ず「何の人だったか分からない名刺」が発生します。

追記:雑談おっさんは相手にするな!

※2018.2.20追記

僕は都合3回ほど出展していますがクリエイターEXPOには変なおっさんが数人うろちょろしています。
どんなおっさんかというと「女性クリエイターのブースに座りだらだらと雑談していくだけ」のおっさんです。
この人たちは単純に暇つぶしだったり女性と話したいだけのおっさんたちなので絶対に相手しないように。
少し話して具体的なお仕事の話が出ずに自分の経歴や自慢を話したり、長々と絵についての話をしようとしだしたりしたらすぐ追い返してください。
そいつらは全く関係のないおっさんたちですので。

運営も困ってるとは思いますが入場の際に誰がその類なのか特定しづらいと思うのでここは自己防衛が大事です。
ご注意ください。

イベントのその後

一番気になる「成果」についてですが大変ありがたいことに会期が終わった次の日に一件ご連絡を頂きました。
終了後早いうちにお会いして頂ける企業さんが1社でもあるのは本当にありがたく、勇気を頂けました。

これからどれくらいのお仕事につながるのかは全く分かりませんが、何ヶ月後にご連絡を頂くケースもあるでしょうし出展した事は一旦忘れて、絵のアップデートや日々の業務に邁進していこうと思います。

上にも書きましたが僕の今回の出展の目的はあくまで「興味を持って頂いた方に300部の資料をお渡しする」事でした。
通常の営業活動ではそれは簡単な事ではありませんのでまずこれの達成だけでもひとまず満足しております。

その他道具など…

練り消しよりもテープ

次回以降の事は分かりませんがもしブース設営が同じ条件だとしましたらテープはこれをお勧めします。

3日間はがれおちる事もなく、はがす時も非常に楽にはがせました。

僕はねりけしも使用していましたが壁がグラグラで強く押し付けることが出来ませんのであまりお勧め致しません。
なので何か貼付ける場合は上記のテープをお勧め致します。

あとは、はがせるフックを使用している方も多かったです。

ゴミは持って帰りましょう

また、ゴミ箱は基本的に無いと思いますので毎日ゴミを持って帰る準備をしておいた方がいいと思います。

最終日だけは解体作業がありますので入り口付近にゴミがうずたかく積まれてましたのでそこに捨ててもいいかとは思います。(詳しくは知りませんが…)

長文、お付き合い頂きありがとうございました

ここまで読んで頂いてありがとうございました。
ひどく長文になってしまいましたが自分なりの所感が、次回以降の出展者さんのためになれば幸いです。

みなさんの幸運をお祈りしております!

追記:収支について

2016年2月時点でクリエイターEXPOきっかけで頂いたお仕事はトータル30万円ほどの売り上げになっています。
準備費用等全て含めて十分元は取れていると思いますし、その金額だけに限らず1つのお仕事は未来のお仕事も呼んできますので将来的には大きなお金になるのではないかと思います。
と言う訳で準備と作品の質はしっかりと結果に表れると、自分は考えております。

2020年出展時のblogはこちらへ↓

Similar Posts: